今更ながら、私はコーヒーが大好きです。大好きですが、苦手なコーヒーがあります。それは「香料」を使用したフレーバーコーヒーです。
コーヒーが好きな人がコーヒーをアレンジしたくなるのは、わかります。輸入品に多いですがレギュラーコーヒーに香料で思いっきり香りをつけたものが苦手です。
それなのに、意図しない形でフレーバーコーヒーを飲むこととなったお話です。
昨年、フィリピンに旅行に行った方が嬉しそうにお土産を買って来てくれました。
「フィリピンの空港で売っていたんだけど、こんなの知ってる?」と。
手渡されたのは「コピルアク」でした。ちょくちょくテレビなんかで取り上げられるジャコウネコのフンの中に入っているコーヒー豆を集めたものです。
映画にも登場してきます。
映画「かもめ食堂」
小林聡美が演じている主人公サチエがコーヒーをおいしくする
おまじないとして『コピルアック』と言ってからコーヒーを淹れるシーンがありました。この映画では、サチエは念願かなって、
フィンランドでフィンランド人に
日本食を提供するレストランを開店させました。自分の夢を実現するために、
サチエは、お店はこうあるべきと
自分にルールを定めていましたが、
中々お客さんが来てくれません。そんな中たまたま、
ミドリというサチエとは正反対のルーズな
性格の女性と知り合い、一緒にお店をやることに。そんなルーズなミドリをサチエは自分の中に取り込み、
自分にとっては犯すことの出来ないこだわりを
他者の手によって壊してもらい、自分だけでは、
いずれ潰れる運命にあったお店を、軌道に乗せることができたというストーリです。
映画「最高の人生の見つけ方」
ところで、この映画では、冒頭から「コピルアク」の名前が出てきます。それが何であるかは説明はないのですが、とにかく最高のものという雰囲気を名優ニコルソンが思いっきり演じながらその名を口にしています。
その後も「コピルアク」は出てきますが、後半のクライマックスで、次のような説明がなされます。「コピルアクは世界最高級のコーヒーとされている。だが、ある観点から見てみるとその事実はにわかには信じがたい。コピルアクの豆が育つあるスマトラの村にはジャコウネコが住んでいる。そのネコたちはコーヒーの実を食べ、体内で消化し、そして糞をする。村人たちは、その糞の中の種を加工するのだ。ジャコウネコの胃液とコーヒー豆のコンピネーションがコピルアクのあの何ともいえない風味と香りを生む要因だ。」と。その後ニコルソンが「くそったれ」と悪態をつくのに対してフリーマンが「それはネコに言え」とやり返し、二人で大笑いをする場面です。
それによって、「泣くまで笑う」というバケツリストの一つを完了するというシーンです。ニコルソンはいつもそのコーヒーを飲んでいたけれど、フリーマンがコピルアクを飲むことはなかったようです。でもこれが大笑いの種になったことは間違いありません。
お土産でいただいたコピルアク
コピルアクのことは、知っていますし何度か飲んでいます。ちゃんとしたものは1杯2,000円とか5,000円とかで提供されています。
ジャコウネコは完熟したコーヒーチェリー(コーヒーの果実)を好んで食べます。食べたものは消化酵素で消化され、果肉が取り除かれた状態でフンに入っています。
その消化酵素で独特の香りが放たれます。嗅いだことのないような印象的でいい香りです。
インドネシア語で「コピ」はコーヒー。「ルアク」はマレージャコウネコのことです。
その方曰く・・・
「このコーヒー、すごく高いらしいんだけど空港ですごく安く売っていたからお土産に何個か買ってきたんだ」と。
この時点で胡散臭いですが。
そして、続けて
「自分用に買ってきて飲んでみたんだけど美味しくないんだよ。コピルアクって、こんなものなのかな?」と。
では、一緒に飲みましょうかとそのコーヒーを受け取り飲んでみました。
思わず吹き出しそうになります。
カネフォラ種(インスタントコーヒーや缶コーヒーの原料としてよく使われる比較的安価なコーヒー)100%にバニラフレーバーを強烈に効かせただけのものです。ここまで、あからさまだと笑うしかありません。
コピルアクは非常に高価なので、そうやすやすと飲めるコーヒーではありません。飲んだことがない人たちが、このような偽物を飲んで「コピルアクって、こんなに不味いんだ。バニラの香りがするんだ。」と記憶されたら怖いですよね。
その方に、残念ながら完全な偽物ですとお伝えしました。
そして、それから数か月後。
別の方がベトナムに行ったお土産を買ってきたよ~と。
「空港でコピルアクが安く売っていたから」と。
この時点で、いや~な予感がしました。
そして一緒に飲むと・・・
フィリピンのものと同様にカネフォラ種100%。それに今回はチョコレートフレーバーを付けたものです(笑)
偽物の横行に唖然としました。
日本国内で、きちんとしたところで販売されているものは偽物ではないと思いますがご注意下さい。
最後まで読んで頂きありがとうございました。